会心の面を解く

栄花英幸

平成8年(1996)
全日本剣道選手権大会
11月3日、東京・日本武道館。

弟の負けで奮起し、意気込みをもって臨んだ大舞台で

平成9年の全日本選手権大会準決勝。
第1試合では、栄花直輝(北海道警察)に面を決めた宮崎史裕(神奈川県警)が決勝進出を果たす。
その試合をじっと見ていた栄花兄弟の兄・英幸は、それまでとは違う意気込みで試合に臨んだ。
対戦相手は、宮崎正裕(神奈川県警)である。

「準決勝に上がるまでも、先に弟が勝っていましたので、兄弟の力を感じていました。
栄花、というより、栄花兄弟の兄として『よし、俺が行くぞ』という気持ちになっていたのです」 立ち上がりから逆胴、出ばな面などで襲いかかった栄花が2分過ぎに面を奪う。

宮崎が前に攻め、それを攻め返すようなかたちで打った面で、宮崎は珍しく居ついたような格好になった。

「自然と身体が出ていました。当時はかなり体重もあり、下がりながら巻き返す技は相手に打ち遅れる可能性もあったので、攻めて打つほうが多かったのです。試合開始からの意気込みがその面につながったのだと思いますが、全日本という大舞台であのような面を打てたという意味では、私の剣道人生のなかでもとくに強い思い出として心に残っています」

100kg超あった体重がすべて乗ったかのような重量感あふれる面。
「攻め勝っての面には醍醐味がある」と、最高の面について思う栄花だが、その言葉を体現する一本であった。

一本を取ってからも果敢に二本目を狙った栄花だったが、その後は面と胴を奪い返した宮崎が逆転勝利。
しかし、栄花が決めた面は会場に強烈な印象を残した。

それまで2位1回、3位1回と入賞を重ねていた栄花だったが、このときはそれまでの入賞とはまた違った感慨があった。
「直輝にとっては(6回目の出場で)初の入賞でした。弟を呼んで一緒に、日本武道館に来ていた古川和男先生(栄花兄弟の出身校である東海大第四高校の監督)のところに行って『一緒に賞を取ることができました』と報告できたことがうれしかったですね」

■栄花英幸
(えいがひでゆき)

昭和39年生まれ。
東海大第四高校、東海大学で学び、卒業後は北海道の教員に。現在は恵庭南高校で教鞭を執る。
全日本選手権2位1回・3位2回他数多くの実績を持つ。教士八段

TOPページへ
© SKI journal Publisher